現代のギタリストにとって必須のエフェクター。そのエフェクターを持ち運ぶためのケースであるエフェクターボードは、あらかじめエフェクターやケーブル類をセッティングしておけば、蓋を開けるだけでセッティングのほとんどを完了させることのできる優れもの。でも、綺麗にセッティングするのって難しいですよね?
理路整然としたセッティングは機能的で美しい反面、なかなか難易度が高く知識も必要な作業。
しかし、世の中には便利アイテムがたくさん存在します。知識や技術は無くても美しくて機能的なエフェクターボードシステム構築は簡単にできる!今回はエフェクターボードシステム構築に当たり「簡単」「効率的」「キレイ」に仕上げるための便利アイテムを実際に僕が使っているものの中からご紹介します。
エフェクターボードシステムに最適なケーブル類とプラグ
エフェクターボードに機材を組み込むに当たり、ケーブル類の自作は欠かせません。
エフェクターボードに最適なシールドケーブル
エフェクター同士を繋ぐシールドケーブル、そして電源をパワーサプライから供給するためのDCケーブル。軽視されがちですが、音を出すための生命線なので、なるべく高品質なものを使いたいところ。
エフェクターボードに使用するケーブル類は以下のような特徴を持つ製品が好ましいです。
エフェクターボードに適したケーブルの特徴
細い | 柔軟性がある |
断線に強い | 経済的(安い) |
上記はかなり重要で、この特徴の反対の商品を選んでしまうと途端にシステム構築が難しくなります。例えばケーブルが太いとボード内のスペースを圧迫してしまいますし、硬いと取り回しがし辛いといった具合です。
僕が必ず使っている『CAJ:KLOTZ Patch Cable』
ざっくりと紹介
- ボードシステム、ラックシステム専用にデザインされている
- 4mmという細さ
- 柔軟性が高くて癖が付きにくい
- 380円/m(サウンドハウス)の安さとCAJという信頼性の高さ
システム製作の雄であるCAJから発売されいるケーブルと言うだけで信頼性抜群。機能性を考えるとかなり安い価格設定も嬉しい!
はんだコテとおさらば!簡単に作れる「Free The Tone:ソルダーレスケーブル」
ジョージエルスによって爆発的に需要を拡大したソルダーレスケーブル。文字通り、はんだを使用せずに簡単に作ることが可能です。万が一の断線の時に+ドライバーで簡単に作れるというのは、ライブやツアーをたくさん行うミュージシャンにとっては有益なアイテム。
CAJと同じくシステム製作やエフェクター類で高い人気と知名度を誇るFree The Toneからもソルダーレスケーブルが発売されています。責任者の林 幸宏(@yhayashifrtt)氏は、製品設計による拘りが非常に強い方で書籍も出されている著名な方。そんな方が代表を務めるFree The Toneのシールドケーブルということもあり、複数あるソルダーレスケーブルの中でもFree The Tone製品を支持するミュージシャンは多いです。
おすすめポイント
- ケーブルが細く、専用プラグも小さいため大幅なスペースの節約ができる
- 簡単に作れる
- 僕の知る限り唯一のDCケーブルのソルダーレスもラインナップされている
DCケーブルって自作できる部品を販売しているショップはなかなか無いので、Free The ToneがDCケーブルの部品を発売してくれて嬉しいです。Free The Toneが発売したことによって楽器屋さんでも気軽に購入できるようになりました!
フォンプラグ
エフェクターボード内ではケーブル類が複雑に入り乱れています。大掛かりになればなる程、機材を入れ替える時に該当するケーブルを探り当てるのって非常に面倒です。なので、エフェクターに繋ぐケーブルはそれぞれに印を付けておくことが望ましいと考えています。目印、もしくはドレスアップ用としてのパーツが豊富に用意されているのがNEUTRIK(ノイトリック)です。
NEUTRIKのカラーブッシングやカラーリングは9色用意されています。
カラー
レッド | グリーン | ブルー |
イエロー | ブラウン | オレンジ |
パープル | グレー | ホワイト |
Candy and Trappyのメンバーもノイトリックのプラグとドレスアップパーツで自作したケーブルを使用しています。
フォンプラグとパーツ一覧
ケーブル自作ならケーブルチェッカーが欠かせない
テスターを持っていないのであればケーブルチェッカーがオススメです。
いざケーブル類を自作して音が鳴らなかったらテンションがダダ下がりなので、自作の際は、最後に電通確認を必ずする癖を付けておくといいかと思います。
僕はフォン・MIDI・DCを作る他、Candy and Trappyのケーブルも作っているのでXLRケーブルも必要になるのでちょっとお高い機種を使っていますが、MIDIケーブルなどを作る予定が無い方は、一般的なシールドケーブルとDCケーブルだけをチェックできる機種を選べば出費を抑えることができます。
ケーブル類をまとめる便利グッズ
最適な長さのシールドやDCケーブルを用意できたら、それらもエフェクター同様固定しましょう!エフェクターとケーブルの両方を固定することで機材がより強固に固定できるだけでなく、断線などのトラブルにも強くなります。
ここでは、「ケーブルをまとめる」「取り回しをよくする」便利グッズをご紹介します。
エフェクターを底上げ!さらにシールドも通せる『PEDAL RISER』
スペースを有効活用するのではなく、新たなスペースを生み出すことができるペダルライザー。この製品の特長は、数cmの隙間があるケースの上にエフェクターを乗せることで、エフェクターの下にケーブル類を通すことができること。
少しでも小さいケースにしたい場合や、エフェクターボードにエフェクターを入れてみたらギリギリになってしまった場合などにペダルライザーを使うことで状況が好転することもあります。
注意ポイント
ケーブル・タイとベースがセットになった『MUSIC WORKS:FXBB-20』
ホームセンターに行く方は見たことがあるかもしれません。
ケーブルとまとめるケーブル・タイと束ねたケーブルの位置を固定するベースのセットです。これは地味に一番使う商品です。というより、これが無いと著名なミュージシャンのような綺麗なボードシステムを作るのは難しい。
ベースは画像の通りネジで固定できる他、マジックテープでもOKなので、色々な使い方ができます。
結束バンドとベースは規模の小さなエフェクターボードシステムにも絶対に入れておきたい便利グッズの代表的存在です。
電圧を倍にする装置『VOCU:Double Power』
特殊な電圧で駆動するエフェクターや最近流行の18Vでも駆動できる歪系など、ちょっと厄介なエフェクターを従来のパワーサプライで手軽に駆動することができる装置。
入力電圧 -0.2V にはなりますが、ほぼ入力された2倍の電圧にブーストしてくれます。
今は手元にないのですが、細かいことを機にせず手軽に使える昇圧機で、発熱はほとんど感じなかった記憶があります。販売している楽器屋さんのサイトを覗いたところ、発熱しないICを搭載しているんだそうです。発熱しない&省スペースの機材なので、設置しやすいところが嬉しいですよね!
ワウペダルとBOSSエフェクターを強固に固定せよ!
エフェクターボードへの固定で厄介なのがワウペダルとBOSSのコンパクトエフェクターですよね。ワウペダルはネジ留めされているバックプレートが原因でマジックテープを付けてもしっかり固定できず、BOSSのコンパクトエフェクターのバックプレートはゴムで縁取られているのでマジックテープが上手く張り付きません。
専用のマジックテープも販売されているのですが、正直心許ないのでいっそのことバックプレートを変えてしまいましょう!
ワウペダル固定用プレート
世界的にスタンダードなワウペダルと言えば「Cry Baby」「VOX」「Fulltone」。
大人気のワウペダルだけあって、エフェクターボードに固定するための専用バックプレートがE・W・Sから発売されています。ネジの部分が落とし込みになるように加工されていて段差が無くなるため、マジックテープをしっかりと張り付けることができ、エフェクターボードへの固定もバッチリです。
ちなみにEWSからは定番ディストーションであるRAT専用バックプレートも発売されています。
BOSSエフェクター固定用プレート
BOSSのバックプレートにはシリアルナンバーが記載されているのでなるべくなら綺麗に残しておきたい。しかし、ゴムで縁取られているため、全面にマジックテープを貼らないとしっかりと固定できない。そんな悩みを解決するプレートが日本のメーカーであるProvidenceから発売されています。
おわりに
エフェクターボードシステムって憧れますよね。システムって言葉に心がときめくと言いますか(笑)
今日紹介したアイテムを使うことで大幅に作業効率が上がるとともに、トラブルを防ぐことができます。特にワウペダルやBOSSのエフェクターなどの固定が難しいエフェクターをそのままにしていたら万が一剥がれてしまった場合、最悪ボードの中で他の機材を傷付けたり接続しているシールドを引っ張って断線を招くこともあります。
機材は金額的に一種の家財。
しっかりと守りつつ、操作しやすいボードの構築を目指してみましょう!